松代にて、信幸公が御隠居なさった後の話です。
ある日、信幸公は柴村の金井池で魚を取るように命令しまた。
すると網に奇妙なモノがかかりました。
それは丸い形をして、鉄のさびたような色をしていました。
石でもなく、土でもなく、金属でもなさそうです。
信幸公は
「この変なもの、生きているみたいだから持っていけ。」
と、この不思議な物体を鈴木右近にくれてやることにしました。
変な物体をもらってしまった鈴木右近は訪ねました。
「これ、どんなふうな名前で呼んで置いておけばいいのでしょう??」
信幸公はふざけて
「土金水とでも呼べば良いであろう。」
とおっしゃいました。この土金水がなまってやがて「とうかんす」と呼ばれるようになりました。
鈴木家では、この謎の物体を祠に治めて神として祭ったそうです。
~~~信濃史料集第17巻 P309より訳~~~