逸話 目次



村上義清との戦で海野幸義は討ち死にしました。
噂によりますと、真田幸隆は兄である海野幸義の戦死の知らせを聞いて
「己も討ち死にするものぞ」
と思い詰めておりました。
そこへ神女が現れ、鉾を逆さまに持ってお告げをなされました。
「この鉾を使って敵陣を破り、この地を逃れ出て時を待つべし。未来は良くなるであろう。
わらわは白鳥明神の御使いである。」

神女は幸隆に鉾を渡してどこかへ消えてしまわれました。
幸隆は
「この霊験を疑ってはならない。」
とおっしゃり、一族郎党・与力・同心にいたるまで集めてまん丸に陣を組みました。
そして、敵が特に大勢で囲んでいる真ん中へ突っ込んでいきました。

敵勢は幸隆の軍の勢いに道を開きました。
幸隆に付き従った兵達は足を乱さず静かに立つと、立退いていったそうな。

このときに幸隆と心を通じていた信濃の豪族達は、大小にかかわらず身一つになって上野国へ落ちていったそうです。

~~~~~~~~~~~一徳斉殿御事蹟の「真田御武功記」より訳~~~~~


 

 

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